カイロプラクターが行う、脊椎サブラクセーションを評価するための触診に関する論文です。モーションパルペーションをはじめ触診は信頼性があまりないということが、エビデンスを考えた時によく言われていることです。
でもいくつかのテストを組み合わせて行うことで、その信頼性を高められるのではないかという内容です。
Interexaminer reliability of a multidimensional battery of tests used to assess for vertebral subluxations.
脊椎サブラクセーションを評価する為に使用される多次元的な複合テストの検者間信頼性
- 脊椎サブラクセーションを信頼性のある方法で見つけることができるのか?ということがテーマの論文です。
- PARTS評価と呼ばれるものが触診を行う上で参考になります。痛み(Pain)・非対称性(Asymmetry)・可動域の変化(ROM)・組織のテンション(Tissue tone)・スペシャルテスト(Special tests)
- 脊椎の評価において痛みの再現は信頼性と妥当性があるとされています。
- 10年以上の臨床経験がある2人のカイロプラクターが実験に参加、お互いの評価・触診結果を比べて相違があるか調べます。
- バッテリーテスト=モーションパルペーション・レッグチェック・軟部組織の触診・ジョイントプレーとエンドフィール(+デリフィールドレッグチェックとCervical syndromeの評価)
- 70人の被験者に対して行われました。
- お互いが見つけたサブラクセーションにおいて、脊椎レベルの間にどのくらい差があるかを検証。
- 頚椎・胸椎・腰椎によって違いはあるが、少なくとも63%の合意が得られた。検者が触診結果に自信がある方が信頼性が上がるとされています。完全な不一致は平均で17.6%と低い結果に。
- 複数のテストを連続して行う方が、モーションパルペーションだけ行うよりも精度が高いとの結果。
- 痛みの再現が含まれていないにも関わらずこれだけの精度がみてとれた。
- 妥当性に関しては検証されていないので、さらなる研究が必要。クリニカルディシジョンメイキングには使えない?
- 少なくとも陽性のセグメント(脊椎サブラクセーション)を含むモーションセグメントを見つけるのは可能?
この論文から思うこと
触診はとても大切な技術であり過程です。クライアントとの信頼関係を築けるものだし、触ってもらったところが、施術前後で違うという感覚を持てることは脳に対する刺激としても有効だと思っています。
少なくとも、63%の合意とありますが脊椎サブラクセーションを含むモーションセグメントを見つけ出すことに関しては、73%くらいまで上がります。また、検者間の完全な不一致は低いので信頼性がそこまでないものでもないのかなと思います。
興味深いのはやはり痛みの再現を利用しないでもこれだけの信頼性が出せたということではないでしょうか。
スペシャルテストを集めたクラスターテストというものがありますが、1つではあまり有効ではないとされているテストも、複数を合わせることで精度を高められるということに似ていると思います。
- Russell D, Cooperstein R, Young M, Sherson M, Haavik H and Holt KR. Interexaminer reliability of a multidimensional battery of tests used to assess for vertebral subluxations. Chiropr J Aust 2018 Mar, 46(1):100-117.
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