「脚の長さが違うと言われました…」
と深刻な表情をして来られる方がいらっしゃいます。
この業界でとても頻繁に使われている言葉で、カイロプラクティック・整体などに行った経験のある方は一度は言われていることかと思います。
実際にカイロプラクティックの学校でも身体を評価するときの1つの指標として教えられますが、結局何を意味しているのでしょうか?
脚の長さの違いの2つのタイプとは
まず始めに脚の長さが違う原因には機能的なものと解剖学的なものの2つに分けられます。
解剖学的なものとは、実際に脚の骨の長さが違うなど構造的な問題が原因のものをいいます。ですが、ほとんどの場合は機能的なものにあてはまることが多いです。
機能的な脚の長さの違いとは
機能的な脚の長さの違い。一言で言うと筋肉や神経の機能と関係しているものをいいます。
人間は普段の生活や身体のつくりなど必ずしも左右対称に活動しているワケではないので、左右差というものはどうしても出てきてしまいます。
OSCに来られる方に対しても脚の長さをうつ伏せや仰向けの状態で見てみると、ほとんどの方に長さの違いを見てとることができます。それらの差も数ミリから数センチまでさまざま。
その脚の長さの違いをもとに全てを評価して問題を見出していくかというとそんなことはなく、その時点では「長さがちょっと違うかな?」という印象をもつ程度です。
脚の長さが変わる要因としては実はいろいろなものが考えられます、
例えば↓
- 骨盤の傾きによって脚の骨(大腿骨)が引き上げられたり下げられたりする場合
- 太ももの筋肉(大腿直筋)の張りや硬さの違い
- ふくらはぎの張りや硬さの違い
- 足関節・足首の問題
- 仙腸関節(骨盤)の動きが左右で違う場合
などなど、
さらには、首・頚椎の動きも関係してくることがあります。
つまりからだ全体の状態が影響します。
関節や筋肉の問題で脚の長さが変わることはよくあるので、アジャストメントやマッサージなどさまざまなアプローチで脚の長さの変化は期待できるのですが、結局何が原因でということを突き止めるのはなかなか難しいように思います。
評価手段としての信頼性は比較的高いものなので、からだをチェックする上で意味のないことではないです。
まとめ:脚の長さはそんなに気にする必要はありません
脚の機能的な長さの違いはさまざまな要因から起こるので、からだを評価する上での数ある指標のうちの1つにすぎないです。
放置しておいていいとは言いませんがあまり気にする・深刻になる必要はありません。実際にはその他の指標と総合してからだの状態を判断していくので。
普通に生活していたら、左右のバランスのくずれなどから脚の長さくらいすぐ変わってしまうので「まぁ身体に何かあるんだな」くらいに考えてもらえれば充分です。
「脚の長さが違うから腰痛や身体の問題になるんだ!」と言ってしまうのはちょっと物事を単純に考えすぎかなと思います。
参考文献:
- Gary AK. Anatomic and functional leg-length inequality: A review and recommendation for clinical decision-making. Part II, the functional or unloaded leg-length asymmetry. Chiropr Osteopat. 2005; 13: 12.
- Hestbaek L and Leboeuf-Yde C. Are chiropractic tests for the lumbo-pelvic spine reliable and valid? A systematic critical literature review. J Manipulative Physiol Ther. 2000;23(4):258-75.
- Russell D, Cooperstein R, Young M, Sherson M, Haavik H and Holt KR. Interexaminer reliability of a multidimensional battery of tests used to assess for vertebral subluxations. Chiropr J Aust 2018 Mar, 46(1):100-117.
コメントをお書きください