【②骨盤矯正って結局なに?】


骨盤矯正 カイロプラクティック

骨盤矯正(こつばんきょうせい)

 

いろいろなところで様々なかたち・意味で使われすぎていて、結局はどういうものなの?どういったことをするの?と思ってしまう言葉のつかと思います。

 

特に日本の治療院業界でなんとなく昔から使われてきているものではないでしょうか。

 

明確な定義がされているものではないので、人によってやっていることや理解にバラつきあるのが現状です。

 

この記事では、骨盤矯正をカイロプラクティックで言うところの「Pelvic adjustment」という意味で使っています。

カイロプラクティックの本場アメリカで正規教育課程を修了したドクターオブカイロプラクティックによる骨盤矯正への理解を書いたものになります。


個人的な理解によるものになりますが、骨盤矯正とは一言で言うと、仙腸関節の動きを良くする(はたらきを良くする)ことです。(と思っています)

 

上の図で言うと赤い部分の真ん中が仙骨(仙骨)、その両端に仙骨をはさむようにしてあるのが腸骨(ちょうこつ)です。仙骨+腸骨が作る関節なので仙腸関節(せんちょう-)です。

 

日本では歪み・開くなどの表現が骨盤の状態を表す時によく使われるため、それだけを聞くとなんだか骨自体が変形しているような印象を受けますが、もちろんそんなことはありません。

 

骨盤にも脊椎(背骨)と同じように多くの種類の筋肉がくっついているので、それらの筋肉同士のバランスがくずれることで左右にある仙腸関節の動きが低下して、かたよってしまい、骨盤全体として見ると歪んだような、時には開いたように見えるのだと思います。

 

仙腸関節の役割って?


関節のバランスの話になりますが、腰椎・骨盤(仙腸関節)・股間節は一つのユニットとして機能していて、お互いにバランスを取りながら、例えば以下のようなさまざまな働きをしています。

*腰椎骨盤股関節複合体、LPHC=Lumbopelvic-hip complex)

  • 力を生み出す
  • 余計なストレス(力)を分散させる
  • 安定性を高める
  • 重心をコントロールする
  • 上肢と下肢をつなげる
  • さまざまな方向に対する安定性と可動性(動き)を維持する
  • より効果的な神経筋肉のはたらきを維持する

そのユニットの一部として仙腸関節の働きが正常であるということが大切なのはイメージしやすいと思います。

 

そして、この部位への適切なアプローチがさまざまな効果を生み出すとされています。仙腸関節の問題が具体的にどんな問題につながるのかを明確に判断するのは難しいところです。

 

そんな動きが大切な仙腸関節ですが、残念なことに動きが悪くなるなど関節のはたらきが低下しやすい部位でもあるので、適切に動かして関節に刺激を入れていくことが重要です。

 

デスクワークなどで座りっぱなしの姿勢は仙腸関節の動きが悪くなる大きな原因の1つです

 

仙腸関節にカイロプラクティックアジャストメント!


そんな仙腸関節に【カイロプラクティックアジャストメント】をすることで何が起こるかと言いうと、

骨盤周りにくっついている筋肉への影響が大きいと言われています。(もちろん関節自体の動きも良くなります)

 

ある骨にくっついている筋肉は、その骨の動きが悪いとちゃんと働いてくれません。骨(関節)を適切に動かすことが筋肉の機能アップにもつながります。

仙腸関節を動かすことによる効果は規模は小さいですが、いろいろと研究されています。

 

仙腸関節にアジャストメントを行うと周りの筋肉がしっかりと働き始めるので

  • 体幹・コアの機能がアップする
  • 大腿直筋などへの影響(ジャンプ力)でスポーツにも関係してくる
  • 骨盤底筋群に影響することで妊婦さんの状態にも関係してくる

といったものです。

 

ちなみに、仙腸関節の動きに関わりのある神経の影響で、筋肉や関節以外にも良い影響があるかもしれないとも言われています。

 

あたりまえですが、仙腸関節へのアジャストメントに関しても禁忌や行うべきではない状態などあるので、適切な評価とアプローチのできる専門家にお願いしてみてください。必要以上に身体を捻ってボキっとやるようなものは受けないことをおすすめします

FYI:ぎっくり骨盤


ぎっくり腰のように、骨盤の部分をグキっとやってしまうことを「ぎっくり骨盤」と呼んでいます。症状としてはぎっくり腰に似ていますが原因が仙腸関節にある場合です。

 

関節や靭帯を傷めてしまったり、周りの筋肉に影響が出たり、神経にも影響することで、お尻から太ももの裏を通って膝裏の上までしびれが出たりすることもあります。

よく起こるパターンとして、

  • 「運転席に座っていて後ろの座席にある荷物を取ろうとして無理にひねった」
  • 「重いものを変な態勢で持ち上げた」
  • 「ふと気を抜いて腰を曲げてかがんだ」
  • 「赤ちゃんをベビーベッドに寝かせようとかがんだ」

 *膝下までしびれが出る場合は他の原因の可能性があるのでご注意ください。


参考文献:

  1. Goode A, Hegedus EJ, Sizer P, Brismee JM, Linberg A, and Cook CE. Three-Dimensional Movements of the Sacroiliac Joint: A Systematic Review of the Literature and Assessment of Clinical Utility. J Man Manip Ther. 2008; 16(1): 25–38.
  2. Haavik H, Murphy BA, Kruger J. Effect of Spinal Manipulation on Pelvic Floor Functional Changes in Pregnant and Nonpregnant Women: A Preliminary Study. J Manipulative Physiol Ther. 2016 Jun;39(5):339-47.
  3. Marshall P and Murphy B. The effect of sacroiliac joint manipulation on feed-forward activation times of the deep abdominal musculature. J Manipulative Physiol Ther. 2006 Mar-Apr;29(3):196-202.
  4. Gong W. The influence of pelvic adjustment on vertical jump height in female university students with functional leg length inequality. J Phys Ther Sci. 2015 Jan; 27(1): 251–253.