トライアスロン人口は近年でも増えている傾向にあります。オリンピックの種目にもなっていて、個人的に見ていても楽しめるスポーツだと思います。
スタッフの近江もアメリカ留学時代からトライアスロン愛好家の方達をサポートしてきました。
立川駅北口から行ける昭和記念公園でも秋ごろにトライアスロンの大会があったりします。
スイム・バイク・ランの3つのパートからなり、その距離・競技歴・トレーニング時間などにもよりますが一定の身体の部位に負荷がかかり過ぎてしまう・偏った筋肉の使い方をしてしまうことが原因による慢性的なケガ・障害が多いスポーツでもあります。
*障害とは一般的に事故や突発的なものが原因でない、使いすぎなどが原因のケガのこと。
さまざまな距離の設定がありアイアンマンと呼ばれるレースにおいては、総走行距離が200km以上でフィニッシュまでに10時間以上かかるものもあり、その分身体にかかるストレスも大きくなります。
*ここでいうストレスとは肉体的な負荷という意味で使っています。
ランに関連した障害・ケガが多い傾向にある
スイム (km) |
バイク (km) | ラン (km) | |
オリンピック | 1.5 | 40 | 10 |
70.3 |
1.9 |
90 | 21.0975 |
ロング |
4 |
120 | 30 |
アイアンマン | 3.8 | 180 | 42.195 |
多くのケガがランのパートと関係していることが統計学上のデータで出ています。
ケガの種類としては下肢のケガ(足首や膝など)、いわゆるランニングやマラソンで起こるケガと似ているものが多いです。またレース中よりはトレーニング中に起こることが多く、興味深いことにある研究では、日本人の選手の中ではバイクのパートに関連する腰痛が多いというデータもあります。
ランのパートとは反対にスイムのパートでは上肢のケガ(肩の障害など)が多いと言われています。
スイム/Swim
◎スイムに多い肩の障害・ケガと傷めやすい部位
肩のケガなので、肩だけにアプローチすればいいと考えてしまいがちですが、トライアスロンにおいてはバイクのパートにおける前傾姿勢の影響から胸椎の部分の動きが悪くなり、肩に余計な負担がかかっていることがある為、そういった部分にもアプローチすることが大切です。
胸椎の動きが悪くなることで、身体の回旋・捻る動作も上手くできなくなるので自由形で泳ぐ場合は特に余計に肩に負担がくることが多いです。
肩に余計な負担がかかり筋肉のバランスがくずれることによって、肩関節・肩甲骨の動きが不安定になり、上に挙げたような障害・ケガの原因に繋がります。
OSCでは症状の出ている部位だけに着目せず、競技特性を考えながら問題の原因を見つけることが大切だと考えています。
少し専門的な話になりますが、トライアスロンでは各パートにおいて使われる筋肉・筋肉の収縮の仕方(使われ方:*エキセントリック収縮)が違います。
そういったことがストレスになり障害・ケガに繋がることもあります。
泳ぎのフォームももちろん影響するので専門家のアドバイスが必要な部分です。
バイク/Bike
バイクに乗っている姿勢自体もそうですが、サドルの高さによっては股関節の可動域が余計に制限され、お尻の筋肉など(殿筋群)が上手く発揮できなくなることがあります。
筋肉を上手く使うには適切な長さが必要なのですが、バイクに乗った状態の姿勢では筋肉が本来の長さの状態で使えなくなってしまうからです。
腰椎・骨盤・股関節そして体幹との連動性がとても大切なので、そういった機能をしっかりとトレーニングや施術の際に取り入れていくことが大切です。
膝蓋大腿疼痛症候群(Patellofemoral pain syndrome=PFPS)と呼ばれるような股関節周りの問題が原因で起こる膝の痛みもバイクで多い障害・ケガの一つです。「膝をケガしていないのに何故か膝が痛い。」そんな時は疑うべきものの1つです。
太ももの前や外側にしびれが出てしまう外側大腿皮神経痛もバイクが原因の一端を担っていることがあります。さらには、腸脛靭帯炎(ランナー膝)やアキレス腱障害・腱炎もバイクと関係することがあります。
それらに加えて、バイクの姿勢が原因の首の痛み、肩こり、腰痛、椎間板へのストレスは実は結構多いです。
バイクに乗った状態で前方をみることにより、頚椎と胸椎の移行部に特にストレスがかかり、首こりにつながることもあります。
ラン/Run
レース中においては前の2パート(スイムとバイク)からの蓄積したストレスが原因となり、股関節や足関節への影響が出ることが多いです。
トレーニング中においてはランニング・マラソンで起こる障害・ケガと似たものが多いです。
スイムやバイクでは重力の影響をあまり受けていなかった筋肉や関節が、ランになることで影響を受けるようになり使われ方が変わるのも要因の1つです。
これらも競技特性を踏まえた上での根本・原因に対するアプローチが必要になりますが、ランニングフォームの改善、正しいシューズ選び、足底板の利用なども専門家との相談の上で有効です。
OSCでは多摩地区で活動するトライアスリートを応援しています!
競技人生のとても長いスポーツですので、より長く楽しむ為にも定期的な身体ケアとチェックをおすすめします。
何をすればいいのか、どうすればいいのかを理解することでより良いトレーニングにもつなげることができますので是非一度ご相談ください!
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参考文献:
- McHardy A, Pollard H and Fernandez M. Triathlon injuries: A review of the literature and discussion of potential injury mechanisms. Clinical Chiropractic. 2006;(9)3:129-138.
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