2020年東京オリンピックでのボランティアが少し話題になっていますね。
そんな中、ふと日本に帰ってくる直前に参加したボランティア活動を思い出したので、この機会に改めて振り返ってまとめてみようかと思います。
カイロプラクターがスポーツの大会でどんなボランティア活動をしているのか参考になればと思います。
World Police & Fire Games Fairfax 2015
この時に参加したスポーツの大会は2015年にアメリカはバージニア州のフェアファックスという場所で行われたワールドポリス&ファイアーゲームスというものです。
この大会は2年に1度行われるもので、世界中の警察・消防・そしてその他の税関・移民管理局などに所属する職員・アスリートが参加するとても大きな大会です。
約1万人のアスリートが、70か国以上から集まり、60以上ある競技に参加します。
競技の中には一般的なスポ―ツはもちろんですが、ボウリング・ダーツ・ドッジボール・オリエンテーリング・消防技術を競うものなどユニークなものもたくさんあります。
アメリカで開催されることが多いのですが、過去にはカナダ・スペイン・オーストラリア・スウェーデン・北アイルランドなどがあり、2019年は中国で行われます。
競技者のレベルはオリンピック程高くはありませんが、規模的にはとても大きなものです。
アメリカで働いていたカイロプラクティックオフィスのドクターに誘われて、アメリカを去る前に記念に参加したようなものでしたが、一言で言うと「とても楽しく、これからもスポーツを楽しむ人達に携わっていく上で、素晴らしい経験となりました」
地域のゴルフイベントやマラソンイベント、カイロプラクティックの学校在学中のクラスの一環として近隣の学校でカイロプラクティックを提供したことはありましたが、やはり世界中から参加者がくるこの大きな大会は特別でした。
オリンピックのように各地で競技が行われます
ボランティアの募集自体は事前に行われて、自分が持っているカイロプラクティックのライセンスや応急処置の証明書などを提出すると参加することができます。
バージニア州のフェアファックスはとても広い市で各地の会場でいろいろな競技が行われることになるのですが、どこに配属されるかは直前に知らされます。
自分が配属されたのはジョージ・メイソン大学のフェアファックスキャンパスでした。
ボランティアは全米各地から来たりするので、交通手段やホテルなどの確保があったりと少し面倒なことがあります。
幸運なことに、この時に自分が住んでいたのはバージニア州フェアファックス、会場の大学は自宅から車で5分というなんとも通いやすい場所でした。
どんな人がボランティアに参加するの?
ボランティアに参加するスタッフの業種はさまざまです。自分の場合はメディカルスタッフという枠のボランティアでしたが、会場案内・審判・その他補助をする人達など役割毎に募集があります。
自分が配属された会場のトップは、その会場になった大学のATC(アスレティックトレーナー)で、各会場のすぐそばにはATCや救急救命士(EMT)などが待機しているテントがあり応急処置やその他のケアが提供されます。
それとは別にアスリートケアクリニックという名の部屋が用意されていて、そこでは自分のようなカイロプラクターを始め、医師(ファミリーフィジジャン・整形外科・耳鼻科など)・看護師・理学療法士・マッサージセラピストがいて、訪れるアスリート達に希望のケアを提供します。
普段あまり一緒に働くことのない業種の方達と現場で触れ合えるのはとても貴重でした。
みんなフレンドリーで、他の人がどんなことをやるのか見学したり、情報交換したりと終始和気あいあいとした雰囲気のボランティアでした。
ちなみにこの会場で行われていた競技は、バスケ(3x3)・柔道・陸上・野球・テニスです。
↑アスリートケアクリニック内にはあらかじめ用意されたテーブルや備品があります。
聴診器と血圧計がなぜか大量にあったのが印象的でした笑
その他普段から自分が使っている道具やテーブルも各自持ち込むことができます。
こういったボランティアで一番重要視されることはチームワークです。
自分が何でもできるといった主張は必要なく、自分が特化していることを他業種に理解してもらいながら、そして自分ができることの中から時には他の人をサポートするように足りない部分を補い合ってケアを提供していきます。
カイロプラクティック・筋肉のケア・IASTM・テーピングなど自分が提供したものはさまざまでしたが、臨機応変にカイロプラクティックだけを提供したり、他の人のサポートでテーピングだけ行ったりと、忙しいながらも楽しい時間でした。
個人的な感想ですが、(道具を使わずに)やはり手だけを使って評価~アプローチができる人達はこういう現場に強いなと思いました。
カイロプラクティックを知らない人は多い
アスリートに世界共通で需要があるのが、マッサージのような気がします。常に行列が出来ていました。
ただ、カイロプラクティックやその他のケアを全く知らない人も多いので、ケアクリニックに来るアスリート達1人1人にどんなことを希望していて、どんなケアを受けたいのかを聞き、自分が出来ることを説明して受けてもらうといったことがとても多かったです。
なので、こういったスポーツのボランティアを行う際はは自分が何者でどんなことをできるのか30秒くらいで説明できるようにしておくことをすすめます。
これはカイロプラクターに限らずです。
他業種の方達と多く触れ合えましたが、やはりお互いがお互いに何をしているかよくわかっていないという印象がとても大きかったです。
国際交流としてのボランティア
大会が行われる前に、ボランティアパケットのピックアップがあります。
そこで、右上の図にあるようなTシャツ・タグ・キャップをもらうことができます。
この大会では他国との交流という意味も強いらしく、交流した他国のアスリートと左上図のようなワッペンを交換している人達をよく見かけました。
そして、ケアをした何人かのアスリートから自分にも是非ということで、同じようにいただけたのはとても嬉しかったです。
終始フレンドリーな雰囲気で行われるこの大会は、選手の側から「記念に一緒に写真を撮ってくれ」なんて言われることもありました。
各国の代表に帯同してきたドクターなどとも、その国のスポーツケアなどに関して聞くことができたのはとても興味深い経験でした。
素晴らしい体験となったボランティア
全部で6日間ボランティアに参加しましたが、初日以外はとても忙しく、普段の仕事では1日にあれだけの人数(50人前後)をみることはないのでとても良い経験になりました。
そして、何より自分の手でこれだけアスリートをサポートできると実感できたのは自信につながりました。
多くのアスリートがケアの後に喜んでくれる姿を見て、かなり仕事へのモチベーションが上がります。と同時にケア中に気付くこともいろいろとあり、それが今後の仕事にも活かすことができると思いました。
ルーマニアからきた金髪美女アスリートが「膝の痛みがなくなって、1位をとれた!」とレース後に走ってきて自分のほっぺにチューをしてくれる、という体験もこういったイベントならではだと思います笑
世界中から参加者がいるので、もちろん英語を全くしゃべれない人もいましたが、「OK」とジェスチャーだけで結構いけるものだと思いました。
なので、言葉が通じなくて結構大丈夫ですよ笑
最後に
これらの活動は全てボランティアです。
ですが、「無償でケアを提供してあげている」というよりは「いろいろな選手・文化と交流させてもらって、自分自身もいろいろと学びながら成長させてもらっている」といった感覚の方が大きかったです。
ボランティアを組織して、指示を出している側もボランティアなので準備不足な面は多々感じました。
ボランティア達のホテルから会場までの交通手段があいまいだったり、会場のどこに行けばいいのか詳細な部分が説明不足だったりとボランティアの間で不満も多かった大会です。
自分にとってはとても幸運な立地と条件のボランティアでしたが、特に海外でのボランティアではそういったことがよくあるようです。
自分がまた今度同じようなボランティアに行くときは、あまり完璧な準備などは期待せず、自力で全てやりますくらいの気持ちで行く方がいいなと思っています。
大会の規模や種類によってもどういったボランティアになるかは変わってくるかと思いますが、東京オリンピックでも参加ボランティアの方達が「良い経験をした・成長させてもらった」と思えればいいのかななんて思っています。
OSC 近江
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